ヨゼフ=ボイス Joseph Beuys

ヨゼフ―ボイスは、美術作家という形容に止まらない、現代の「傑物」である。その行動は、作品に止まらず社会変革としての政治運動まで展開し、現代に引き継がれている。
以下抜粋―美術手帳「ボイス特集」より

「誰でも自分の専門分野を通して、人間を理解できる能力を身に付けるところまで、導いてあげなくてはならない。それには人の生き様がすべて入る。もちろん政治も対象となる。もしある女子学生が私の教えを受けたことによって、よりよい母親になれたとしたら、そのことは私にとっては偉大な芸術家を育て上げたことよりも重要なことだ。」

「創造性と学術的研究のための自由国際大学」-「FIU」ハインリヒ、ベルなどと創立
「7000本の樫の木」植樹運動、エコロジーデモクラシー 社会彫刻
「ドイツ学生党」-ドイツ学生党は世界最大の政党だ。ただし党員の大部分は動物である。
「100日間の討論」-市民イニシアチブの牽引
「緑の党」-政党組織
「拡張された芸術概念」-ボイスの彫刻理論は気づかないうちに政治理論に入り込んでいる。キーワードは腕への思考の延長、伝達である。まずアトリエが変えられ、次に大学、次に社会が変革される。

「社会彫刻は、拡大された熱彫刻だ。」
音響や煙、大気と水は、その中に生きて動く原理を伝達する。手の内に触るものから始まり、全てのものを彫刻として捉えていく。素材に言及すれば、脂肪、フェルトをはじめ土植物予知具体的には白鳥、鹿、兎、蜜蜂などの動物である。
彼のアイデアは頭から捻り出したものではなく、それぞれの物質特有の性質に関する膨大な知識センスに裏付けられており、その上で直感的に素材を組み合わせていったのである。内側から外側へと向かう具象彫刻として。ボイス本人も折に触れていっていた。「芸術は理解するためにあるのではない。私は、解釈は有害だと思う。人間は今日では物の本質をわかっていない。」

近代という制度と技術が作り出した巨大な装置が、自然を逸脱していくことに近代主義芸術がまったく無反省かつ無力であったことに対して、ボイスは人間の鋭意に対して包括的に責任を持ちうる芸術を確立しようとした。

人間は近代という装置によって自らの能力とスケールを超えて肥大し、蜜蜂に象徴されるような、適正なエネルギーの生産と消費との調和から逸脱し続けている。(山本和弘)
[PR]

by isaotoshimori | 2006-11-01 19:26 | アート